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「嘘ミーム」が嘘でなく本当にミーム化 / 「アフターエポックス」で初音ミクがプリンを連れている理由は

再生数急上昇ソング定点観測
約1か月前2024年05月24日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで5月10日から5月16日にかけて集計されたミュージックビデオランキング、および急上昇ランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeミュージックビデオランキングで初登場2位になったのは、前回のこの連載で紹介したサツキの「メズマライザー」。先週の時点では約1550万回再生だったが、この1週間で約2170万再生を突破した。

12位にはSixTONESの「ここに帰ってきて」がランクイン。「ここに帰ってきて / 逢いたいから」という印象的なフレーズがあるように、離れ離れになってしまった大事な人に思いを馳せる歌詞になっている。YouTubeのコメント欄には、楽曲を通して視聴者それぞれの会えなくなった最愛の人との思い出を重ねる書き込みが多かった。

25位はJO1の「Love seeker」が初登場した。ハートマークや指ハートなど、曲全体にハートがちりばめられた振付がかわいいと話題だ。48位は紫今の「魔性の女A」のミュージックビデオが登場。4月24日の公開から丸1カ月で314万回を超えたリリックビデオの再生数をMVはすでに抜き去っており(5月24日時点で320万再生)、着実に話題が広がっている。

そのほか、13位にStray Kidsの「Lose My Breath(Feat. Charlie Puth)」、16位にはaespaの「Supernova」、30位にSEVENTEENの「LALALI」、42位にIVEの「Accendio」と今週もK-POPの楽曲が多数ランクインする結果に。そんな今週は下記の3曲をピックアップ。

ピノキオピー「嘘ミーム」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場35位

今年1月に発表された「Aじゃないか」以来、約4カ月ぶりとなるピノキオピーの新曲「嘘ミーム」が到着した。「嘘ニュース鵜呑みにして」とネットのデマに振り回されてしまう状況を歌ったり、「理想の姿 捏造しながら / 超ダサい『本当』を切り捨てた」と自分をよく見せるために繕ってしまう“人間の業”を描いたりと、嘘をテーマにした鋭利な目線の歌詞が心地いいサウンドに乗せて紡がれている。

ただ、この曲で歌われている“嘘”は、決してネガティブなことだけを指しているわけではない。終盤に登場する「誰かを救った嘘」というフレーズのように、その嘘が第三者の支えになることもある。そもそも初音ミク自体が実在しない歌い手だが、その歌声に救われていた人も多いはずだ。

そんな多角的な視点で描かれた「嘘ミーム」は、5月10日にMVが公開されてから約2週間で150万回再生を突破。歌ってみた動画も多く投稿されており、曲名通りミーム化が始まっている。

なおピノキオピーはこの夏、5年ぶりの全国ツアー「モンストロ」を開催。札幌、大阪、名古屋、福岡のZeppと東京・豊洲PITの5会場を回ることが決定している。

DECO*27「あいたい星人」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場76位

「あーもう顔すき声すき優しさがすき / 意味わからんとこで笑うのすき」という歌詞で始まることもあって、この曲は意中の人を思う純粋な歌なのかと思いきや、そうではない。曲が先へ進むにつれて主人公の相手に対する思いが爆発し、「あたしを捨てて笑顔とか / 死んじゃえ」と愛から憎へと変わっていく。

特に面白いのがDECO*27の言葉遊びだ。「ねえ あいたい / うーあいたい」という印象的なサビのフレーズがある。1番では「会いたい」という意味に捉えられるが、2番では好きな気持ちがこじれて「あぁ、痛い」と歌っているようにも聴こえる。「ワレワレハあいたい星人ダ」から「心ニ穴ノ空イタ異星人ダ」へと韻を踏みながらつなげ、心の闇を見事に表現しているのも素晴らしい。1曲で恋心のA面とB面を覗いているような、DECO*27の巧みな表現力を味わえる楽曲だ。

sasakure.UK「アフターエポックス」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場83位

去年8月31日に始まった、ポケットモンスターと初音ミクのコラボレーション企画「ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs」。ポケモンの持つ“タイプ”が18種類あることになぞらえて、18名のボカロPによる「ポケモン」公式ゲーム音源をサンプリングした楽曲とミュージックビデオが数カ月にわたって公開されてきた。当初は18弾で終わる予定だったが、追加楽曲として新たに公開されたのがsasakure.UKの「アフターエポックス」だ。

MVには、このコラボ企画のために描かれた18タイプの初音ミクと、ゲームシリーズの歴代主人公たちが総出演している。それだけでなく「出逢い / 別れ / 出逢い / 別れ」と繰り返す歌に合わせるように、テレビアニメの「ポケモン」で別れの象徴として登場したホウオウがMV内で描かれていたり、初期のポケモンたちの進化する過程が映し出されていたりと、ゲームをプレイしたりアニメを観たりしたことがある人なら感動すること間違いなしのMVとなっている。

特に話題なのが、初音ミクが連れているポケモンがプリンであることだ。プリンの「ポケモンずかん番号」はNo.0039(ミク)であり、歌を得意としていることなど、共通点が多い。YouTubeのコメント欄では「この曲が生まれるために、プリンが誕生したように思える」と奇跡的なつながりを感じている声が多かった。

ちなみに第20弾の楽曲はKanariaが担当するとのことで、どんな楽曲になるのか期待して続報を待とう。

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