JOYSOUND 音楽ニュース
powered by ナタリー
「JOYSOUND X1」公式サイトJOYSOUND公式キャラクター「ジョイオンプー」

TEAM SHACHI、正体隠してTikTokで大バズり!ネタばらしまでの裏側を、自ら仕掛けたメンバーが語る

TEAM SHACHI
7か月前2023年11月23日 9:04

今年8月、TikTokに「待ち合わせに、飽きもと。」(@machiawase_akimoto)というアカウントが開設された。動画の内容は、撮影者である女性が街中で待ち合わせした友達に対し「どこに居るか分からないから目立って欲しい」と連絡した結果、その友達が全力で踊り出すというもの。新宿や品川など通行人が大勢いる待ち合わせスポットで、躊躇なく全身でダンスするメンタルの強さがTikTokユーザーにうけ、中でも名古屋駅でソーラン節を踊る動画の再生回数は980万回を超えている(2023月11日現在)。

動画は基本的に引き画で撮影されているためダンスする女性の顔が見えづらいが、踊っている人物も撮影している人物も、実はスターダストプロモーションに所属する4人組ガールズユニット・TEAM SHACHIのメンバー。彼女たちはグループ名を伏せたこのアカウントでバズりを生み出すと、途中から自分たちの曲を踊るようになったり、「S」「H」「A」「C」「H」「I」という文字をアピールしたりと徐々にヒントを出すように。そして撮影場所が10月に開催されたライブイベント「スタプラアイドルフェスティバル ~秋の新曲収穫祭~」の会場である横浜アリーナに近付くと、11月中旬には「どこに居るか分からないから目立って欲しいと言った結果」、横アリのステージ上で踊るTEAM SHACHIの姿が捉えられるというネタばらしの動画が投稿された。

TikTokで“バズ”を作ろうと試行錯誤しているアイドルやタレントは多いが、大箱でのライブ経験をいくつも持つ結成12年のグループが顔も名前もアピールせず、動画のアイデアだけで注目を浴びたのは異例と言える。彼女たちはなぜこの企画を始めたのだろうか。撮影を担当している秋本帆華と、動画内でキレのいい踊りを見せている坂本遥奈の2人に話を聞いた。

取材・文 / 近藤隼人

TEAM SHACHIが掲げる命題

──「待ち合わせに、飽きもと。」はどういうきっかけ、経緯があって始まったのでしょうか?

秋本帆華 TikTokはバズりが生まれやすいところなのかなという考えがもともとあって。スターダストの後輩グループであるとき宣ちゃん(超ときめき♡宣伝部)や東北産ちゃん(いぎなり東北産)、最近ではアメフラちゃん(AMEFURASSHI)もTikTokでヒットやバズリを起こしていたので、TEAM SHACHIとしても何かできるといいなと思ってアカウントを作ってみました。待ち合わせの動画を投稿するようになったのは、いろいろと試行錯誤したうえで、これならシャチを知らない層にも興味を持ってもらえるんじゃないかと考えた結果ですね。

坂本遥奈 スタッフさんと打ち合わせを重ねたり、実際に動画を投稿してみたり、いろいろとチャレンジしてきたんですけど、TikTokでは街中で踊るタイプの動画が伸びやすい傾向にあることに気付いたんです。メンタルが強くないとできないことですが、私たちは12年と長く活動しているし、ライブでのパフォーマンスも熱量重視、コミカルなダンスも振り切って全力で踊るというメンタルが備わっているチームなので、面白い動画にできるんじゃないかなって。

秋本 ハル(坂本)のメンタルの強さは、4人の中でも特にズバ抜けてるんですけどね(笑)。それは、この動画を撮影してみて気付いたことでした。


──とき宣や東北産は楽曲がTikTokで流行り、AMEFURASSHIはライブで撮影されたダンス映像が注目を浴びたわけで、曲やパフォーマンスをアピールするのが正攻法ですよね。それに対し、TEAM SHACHIがやっていることはかなりの変化球という印象です。

坂本 確かに変化球ですね(笑)。アイドルファンの方にはTEAM SHACHIとしての楽曲やダンス動画のほうが馴染みがあると思いますが、やっぱりグループのことを知らない一般の方たちにどう知ってもらうか、どうやって私たちの魅力を届けるかというところがテーマだったんです。

秋本 そういう考えがあって顔もはっきり出さず、TEAM SHACHIの曲も使わない形で投稿を始めました。1年前ぐらいからいろいろ考えて、最近ようやく数字が結果に出るようになってきました。

──SNSを通してTEAM SHACHIの輪を広げることが命題だったんですね。

秋本 そうですね。TikTokは広まる速度が速いんですよ。1回バズれば、私たちのことを知らない層にもたくさん動画を観てもらえる。もちろん自分たちの曲が広がるのが一番いいんですけど、そんなに簡単にできることではないんですよね。

──でも今回のような顔と名前を伏せた動画の場合、結果としてまったく話題にならず、TEAM SHACHIであることを明かせないまま、一般のアカウントとしてひっそりと終わる可能性もありますよね。

坂本 そうですね(笑)。TikTokの再生数の単位に「K」と「M」があるんですけど(※1Kは1000回再生、Mは100万回再生を表す)、「M」の再生数までいくアカウントにしようという大きな目標を立てていて。

秋本 その中で、待ち合わせの動画が自分たちの中で一番「M」に近いだろうなと思ったんです。実際に撮影していてもその状況が異常で(笑)、「あ、これは誰が観ても面白いものだ!」という手応えは最初からありました。ここまでバズるとは思ってなかったんですけど、面白いものを撮れているなって。

坂本 ダンスがTEAM SHACHIの強みの1つだと思うし、撮影者であるほーちゃん(秋本)のかわいい声も入ってるし、待ち合わせ動画の中にシャチのアピールポイントが詰め込まれているんです。


──先ほどメンタルの話が出ましたが、坂本さんは本当になんの躊躇も恥ずかしさもなく踊れたんですか?

坂本 それがやってみてびっくり。躊躇がまったくなく、逆に楽しんでしまいました(笑)。

秋本 いつも以上に周りにたくさん人がいるときがあったんですけど、「うわ、これは踊りがいがあるわー」って言ってて、もう怖くなりました(笑)。

坂本 ライブでもたくさんの方に観てもらえるほうが輝けると思っているので(笑)。活動の中でメンタルが鍛えられているし、もともとダンスが好きだし、せっかくなら多くの人に観てほしいなって。人がいたほうが気合いが入りますね。

秋本 同じメンバーでも感心するよ。私はそこまでメンタルが強くないから。TikTokには上げてないんですけど、どんな感じかなと思って私も1回踊ってみたんですよ。でもやっぱり恥ずかしくて、踊りが小さくなってしまったんですよね。


──「ライブでもたくさんの方に観てもらえるほうが輝ける」とのことですが、ライブのお客さんはTEAM SHACHIのパフォーマンスを観に来てるわけで、シャチのことを知らず、遠くでTikTokを撮っていることに気付いてない通行人の前で突然踊るのとは全然状況が違いますよね(笑)。

坂本 そうですね(笑)。私はグループでの活動を始める前からダンスを習っていて、小さい頃はスーパーで買い物中に踊り始めてお母さんに怒られたりすることもあったんです。あと、私たちは前身グループのチームしゃちほこ時代からロックフェスに出演させていただくことが多くて、ほかのアーティストのファンの方たち、アイドル界隈じゃない方たちの前でパフォーマンスするアウェーの状況をたくさん経験してきてるんですよね。そういうときは「アウェーだけどやってやるぞ!」という負けん気が出てきて。

秋本 むしろアウェーのときのほうが楽しんでたよね。

坂本 「絶対に好きにさせて帰るぞ!」という気持ちが強くて、負けず嫌いなグループなんですよ。そういう経験がメンタルの強さにつながっている部分はあると思います。

「待ち合わせに、飽きもと。」さんですよね?

──TEAM SHACHIのファンの方は、いつくらいのタイミングで「待ち合わせに、飽きもと。」がシャチメンバーのアカウントだと気付き始めたんでしょう?

秋本 最初は気付いてなかったよね。11本目に上げたソーラン節を踊る動画が980万回くらい再生されて、 そのときに気付いた方が多かったと思います。私の友達からも「これってシャチだよね」って連絡がいっぱい来ました。

坂本 「メンバーのほうから『TEAM SHACHIがこういうTikTokのアカウントをやってます』という発言をしてないってことはそういうことなのかな」……ってファンの方も私たちのやりたいことを察してくれて。コメント欄で「TEAM SHACHIだ!」ってネタバレすることなく、「すごいメンタルの子がいる!」とか一般の方と同じようなコメントで盛り上げてくれました。優しい方ばかりですね。

秋本 コメント欄での信頼関係がすごかったよね。

──先日、TEAM SHACHIのX(Twitter)アカウントでついにネタばらしをしていましたが、「TikTokでよくこの動画が流れてきてたけど、あれTEAM SHACHIだったんだ!」と驚いている人もいました。

坂本 TikTokに待ち合わせ動画を上げていること、自分の母親にも一切言ってなかったんですよ。バズってから伝えたいなと思っていて。実際にソーラン節の動画がバズったあとに「実はこれ私なんだ」と伝えたら、「え! これめちゃくちゃ流れてくるけど、ハルだったの!?」と驚いてました。同世代から母親の年齢層まで、本当に幅広く一般の方たちに届いてるんだなと実感できてうれしかったですね。

──ソーラン節の動画がバズったときは「よし来た!」とガッツポーズしたくなるような喜びがあったのでは?

秋本 今まで見たことのないような、3000くらいの数のコメントが付いていて。しかもTEAM SHACHIのことを知らない、純粋に動画を楽しんでくださってる方たちのコメントだったので、本当にうれしかったです。

坂本 「『待ち合わせに、飽きもと。』さんですよね?」って街中で声をかけられましたから(笑)。ソーラン節を撮った名古屋駅で次の動画を撮影していたら、こっちをすごい見てくる人がいて。

秋本 場所が名古屋だし、「TEAM SHACHIの人ですか?」と声をかけられてるのかと思ったら違って。

坂本 それもすごくうれしかったですね。

今までやってきたことは間違ってなかった

──最終的にどうネタばらしをするのか、そのリードの仕方は動画がバズったあとに考えたんですか?

坂本 動画を投稿し始めたときから、最終的にはTEAM SHACHIの活動につなげたいと思っていたんですけど、どういうやり方がベストなのかわからなかったので、そのあたりは動画がバズってからみんなで急いで考えました。

秋本 動画がバズって無事に私たちのやりたいことができたから、そこからどうTEAM SHACHIのライブや楽曲につなげていくのかをスタッフさんたちと一緒に考えて。ちょうどアルバム制作を並行してやっていたので、その楽曲の中からこの企画で映えそうな「沸き曲」を動画内で踊るようになりました。「沸き曲」は横アリの「スタプラフェス」で初披露することが決まっていましたし。

──そして最後は、横アリのステージで踊っている映像に着地させるという。

秋本 種明かしを待っていたファンの方たちには「待っていてくれてありがとう」という気持ちでしたね。みんなのおかげでこの動画をうまくTEAM SHACHIにつなげられたんだよって。

──お二人のお話を聞いて、最初から最後まで工夫を凝らした試みだったことがわかりました。

坂本 動画としては、ただただ踊っていただけなんですけど(笑)、楽しかったよね。かわいい曲でバズりたいみたいな思いもちょっとはあるんですけど、「私たちの強みってやっぱりこれだったんだ。今までやってきたことは間違ってなかったんだ」と思えて、活動に対する自信にもつながりました。TikTokの動画がきっかけでライブに来てくれる方もいるかもしれないですし、よりダンスに気合いが入ります!(笑)

秋本 TikTokのコメントに「楽しそうに踊ってるから好き」「こういう友達が欲しい」というコメントもたくさんあったんですよ。ライブではメンバーがずっと踊ってるわけなので、TEAM SHACHIのライブに来ていただけたらすごく楽しんでもらえると思います。

坂本 「撮ってる子の声がかわいい!」というコメントもあったよね。ぜひ、ほーちゃんの声を聞きにライブに来てほしいです。

秋本 あと、TEAM SHACHIは面白いことを常にやり続けたいグループなので、その一面が「待ち合わせに、飽きもと。」のアカウントでもたくさん出ていたと思います。

坂本 これからも、TEAM SHACHIを知らない人にどうやって知ってもらえるかを考えて、いろんなことに挑戦していきたいです。「待ち合わせに、飽きもと。」もこれで終わらず、次につなげていきたいなと思っています。

秋本 乞うご期待!


プロフィール

TEAM SHACHI(チームシャチ)

スターダストプラネットに所属する愛知県出身の秋本帆華、咲良菜緒、大黒柚姫、坂本遥奈の4人からなるラウドポップユニット。2018年10月22日に前身グループ・チームしゃちほことしての活動を終了し、翌23日にTEAM SHACHIとして再スタートを切った。2019年2月にミニアルバム「TEAM SHACHI」でデビュー。2020年7月にコロナ禍の中で行った無観客生配信ライブ「TOUR 2021~異空間~:Spectacle Streaming Show "ZERO"」では視聴者数が5万5000人を突破するなど、話題を呼んだ。2021年10月に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで行ったワンマンライブ「OVER THE HORIZON~はちゃめちゃ!パシフィコ!」を成功に収める。2022年2月に1stフルアルバム「TEAM」をリリースし、同月よりツアー「TOUR 2022 ~猪突!猛進!猛進!猛進!猛進!~」を開催。名古屋で行った“路上デビュー”10周年記念公演にて10年タッグを組んできたワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル・unBORDEからの卒業を発表し、その後自主レーベル・ワクワクレコーズを立ち上げた。2023年7月には愛知・名古屋城でワンマンライブ「SHACHI SUMMER2023 名古屋城~叫べ!夢と希望の銃弾を放つ夜~」を開催。匿名で投稿を重ねていたTikTokアカウント「待ち合わせに、飽きもと。」では、980万回再生を突破する動画が出るなど“バズ”を起こし、その後TEAM SHACHIのアカウントであることを公表した。12月2日から全国15カ所30公演のツアー「ライブハウスツアー2023-2024 WINTER~ライブスペクタクル!命短し、沸かせよ乙女~」を開催する。

JOYSOUND
JOYSOUND.COMカラオケ歌うならJOYSOUND

関連記事

「STARDUST THE PARTY」キービジュアル

スターダスト所属のアイドル14組総勢95名が集う「STARDUST THE PARTY」開催決定

3日
TEAM SHACHIとSharply # × Flutter ♭。

TEAM SHACHI×シャプフラ、お台場で“かわちぃ”コラボパフォーマンス

4日
一斉生配信を行うスターダストプロモーションのガールズグループ。

スタダ所属のガールズグループ12組が一斉生配信

6日
でんぱ組.incとTEAM SHACHI。(撮影:笹森健一)

でんぱ組.inc×TEAM SHACHI、楽曲トレードやコラボで沸かせた「でんシャチ祭り」

8日
「柚姫の部屋フェス」ロゴ

TEAM SHACHI大黒柚姫の番組発「柚姫の部屋フェス」に高城れに、アメフラ、高嶺のなでしこ出演

17日
TEAM SHACHI「のんあるすいけん feat.炒飯」配信ジャケット

TEAM SHACHI、新作EPより「のんあるすいけん feat.炒飯」を先行配信

19日
TEAM SHACHI

TEAM SHACHI、6年ぶりに「TIF」出演

19日
「UNDER THE SCREAM!!2024」メインビジュアル

TEAM SHACHI、カイジューバイミー、ばっしょー、PIGGS、NARLOW、ポピエモが城島高原に集結

21日
TEAM SHACHI「待ち合わせに、飽きもと。」ジャケット

TEAM SHACHIのEP「待ち合わせに、飽きもと。」にソーラン節

22日
TEAM SHACHI

TEAM SHACHI、かわちぃ友達と待ち合わせ!新曲「のんあるすいけん feat.炒飯」披露

約1か月