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貴重エピソード続々披露、TM NETWORKがリリースイベントで「DEVOTION」語り尽くす

ステージに登場したTM NETWORKの3人。(撮影:島田香)
12か月前2023年06月20日 2:02

2024年4月21日にデビュー40周年を迎えるTM NETWORKが、アニバーサリーイヤーの口火を切る“スターティングプロダクツ”「DEVOTION」を6月14日にリリース。これを記念した前夜祭となるリリースイベント「TM NETWORK FANKS THE PARTY 2023 feat. "DEVOTION"」が6月13日に東京・EX THEATER ROPPONGIにて開催された。

「DEVOTION」はTM NETWORKが昨年行った全国ツアー「TM NETWORK TOUR 2022 "FANKS intelligence Days"」にて披露した「How Crash ?」「WE LOVE THE EARTH(TK Remix)」や、9月8日に公開されるアニメーション映画「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」の挿入歌である「DEVOTION」「君の空を見ている」など11曲を収録。TM NETWORKが結成された1983年に作られた「TIMEMACHINE」が、40年の時を経て今作で初めてレコーディングされたことでも話題になっている。

リリースイベントの前には同会場で、マスコミ各社を招いて「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」のプレス発表イベントが行われ、オープニングテーマ「Whatever Comes」とエンディングテーマ「Get Wild」を提供したTM NETWORKが監督や声優陣とともに登壇。映画のために書き下ろした「Whatever Comes」に、小室哲哉は「自信がある」と笑顔で話した。

19時すぎに「TM NETWORK FANKS THE PARTY 2023 feat. "DEVOTION"」が開演すると、TM NETWORKファンとしても知られるフリーアナウンサーの住吉美紀が司会として登場し、「皆さんと同じFANKS(TM NETWORKファンの呼称)です」と自己紹介をして会場を沸かせた。「DEVOTION」はTM NETWORKとソニーミュージックが約25年ぶりにタッグを組んだ作品。そこで開会宣言として、まずは株式会社ソニーミュージックレーベルズ レガシープラス代表・中武宣廣氏がプレゼンテーションを行なった。この模様はソニーミュージックのライブ配信プラットホーム・Stagecrowdを通じて日本のみならず世界19カ国でも配信されており、中武氏は画面の向こう側の視聴者へ向けて流暢な英語も交えて挨拶をした。

続けてステージ上の巨大モニターがリフトアップし、爆音で流れる「DEVOTION」とともに、TM NETWORKの3人がまばゆい逆光の中から登場。そして新作「DEVOTION」の先行試聴が行われ、ソファに座った3人が作品にまつわる貴重なトークを繰り広げていく。ステージ上ではカメラロボットが自走してメンバーを撮影。このカメラロボットはソニーの技術で研究・実装された自動撮影システムで、これによってTMらしい近未来的な生配信となった。

まず小室は、新作「DEVOTION」が完成した気持ちについて「(今回のようなイベントは)30周年のときにもやっていて楽しかった印象があります。TMってツアーだとしゃべれないので。今回もぜひトークイベントをやらせてほしいと思ったんです」と説明。宇都宮隆はクールに「TMという存在にプレッシャーがかかっています。もちろん、すごくうれしいんですよ。でもFANKSの方々の好きという気持ちの大きさがハンパじゃないので」と話し、木根尚登は「僕はソロだとずっとしゃべっているので、3人組の場合は抑え気味で。調子に乗ってしゃべりすぎないように心がけています(笑)。TMは特別な場所で、プレッシャーというか緊張感を楽しんでいます」と、新たなプロジェクトがスタートする喜びを噛み締めていた。

TM NETWORKが来年4月に40周年を迎えることについて、小室は「40周年については、そんな簡単に語れないですよね。よくここに座ってられるなというか、ありがとうございますという感じで。(40周年を迎えるだなんて)考えたことなかったですから。今日、この会があってよかったです。こんなに話せる機会はなかったので。これがないとツアー始まらないですよね」とコメント。これに宇都宮が「30周年が終わったときに、また3人が集まれることはあるのかな?と思っていたんです。動けない状況もあったので。でも、気が付いたら立ち上がってきたから(小室を指しながら)。皆さんもそうだと思うけど、うれしかったですね」と続け、木根は「TM NETWORKとしてメジャーデビューを目指すところまでは、目的や目標があったのですが、デビュー以降は何年やり続けるなどの目標は持ててなかったんです。気が付いたらいつの間にか、こんなに長くやらせてもらって。応援していただいて、感謝しかないですね。40周年イヤーが始まるんだってドキドキしています」と語った。

司会の住吉から「DEVOTION」のタイトルやコンセプトについて問われると、小室は「世界中にいろんな音楽があるけど、使ってないタイトルや言葉ってなかなかないんですよ。ほぼ使い倒している。なので、そうとう考えて探しまくって、いい言葉だなと思ったのがDEVOTION。最初、意味を知らなかったんです。響きだけで気に入って。そうしたら“献身”という意味が出てきて、もしかしたら“献身”って愛よりも強い言葉じゃないのかなと思ったんです。今回の映画『シティーハンター』にも通じるんですよ。冴羽リョウがDEVOTIONって言っても似合うと思います。そのぐらいフィットしたので」と回答。試聴会ではそのときに流れている曲について3人がエピソードを述べ、「TIME TO COUNT DOWN(TK Remix)」については「必ずライブで聴いてもらいたい曲」と話していた。

イベントの中盤には、住吉がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「Blue Ocean」の公開収録も実施。番組では今週「2秒でアガる!神曲ウィーク」という音楽コーナーを展開しており、住吉は小室に「作曲家としてイントロの重要性をどう思っていますか?」と質問した。これに小室は「イントロは一番大事じゃないですか? つかみですから、つかまないと(笑)。最初の2秒だったら1小節ぐらいかな?」と“2秒でアガる”を律儀に守って答えようとするが、住吉が「2秒というのはあくまでコーナータイトルなので、正確に2秒じゃなくても大丈夫です(笑)」とフォロー。小室は続けて「イントロに入る前の音にも毎回こだわっていました。たとえば『Self Control(方舟に曳かれて)』は、イントロでリフに入る前に“パンッ!”という音が入るんですよ。あれで『えっ、なに?』って思わせたかった。あと『LOVE TRAIN』のイントロのサイレンは、シンセサイザーでの音作りに2日ぐらい時間がかかりました」と明かした。

さらに住吉から「人の心に刺さるイントロのコツは?」と聞かれると、小室は「中毒性を持たせること。また聴きたくなる、何回聴いても飽きないようにすること」と言って、「Still Love Her(失われた風景)」を具体例に挙げて「イントロのリフはずっと鳴っていても嫌じゃないように作りました」と語った。そして小室は「TIMEMACHINE」について、「まだTM NETWORKというユニット名がなかった頃に作った曲でした。TMの前のバンド時代は、木根さんがリーダーだったので木根さんが作曲していて、ウツは木根さんの曲に歌い慣れていたんです。詞は僕が付けました。40年後にレコーディングして聴いてもらえるのはうれしいです。トラックは手作りなんです。木根さんのアコギと僕のシンセで、生でぬくもりある演奏をしていて。歌詞もけっこういいんじゃないかな」と解説した。

番組の公開収録が終わってもイベントはまだまだ続行。ここではエピックソニー時代にTM NETWORKの海外活動をサポートしたスタッフであり、現在はソニークリエイティブプロダクツの代表である大竹健氏によるビデオプレゼンテーションが行われ、続いて映画「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」のプロデューサーであるアニプレックスの若林豪氏がステージに登場した。若林氏は「今日、映画のオープニングテーマをTM NETWORKが作ってくれたことをやっと発表できたのがうれしいです」と語り、小室は新曲「Whatever Comes」について「オープニングテーマを作る上でライバルは『Get Wild』でした。最強の代表曲『Get Wild』に負けない曲を作りました。だって、エンディング曲に勝てなかったらオープニングが始まらないじゃないですか? 最初にお話を伺ったときは緊張しましたよ」とコメント。若林氏は「前に小室さんがインタビューで、当時『Get Wild』でタイアップが決まったときに『オープニングじゃなくてエンディングだと言われてがっかりした』とおっしゃられていたことを覚えていて。今回、映画でオープニングをお願いすることができて、自分の夢を叶えることになりました。なので、小室さんにお会いしたときに『オープニングを、35年お待たせしました』と伝えたんです。うれしかったですね」とエピソードを明かした。

今回の映画は前作「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」と異なりシリアスな物語となるので、エンディングテーマ「Get Wild」とは違った明るい曲調のオープニングテーマが制作サイドからは求められたというTM。若林氏は「『Get Wild』と関連しながらも異なる、明るくて対になる曲をこだま兼嗣総監督が求めていた」と説明し、小室はそのオファーを聞いて「Get Wild」と同等のクオリティを持つ曲を作らねばと意を決したという。

イベントのラストに、木根は「今日はありがとうございます。9月からツアーが始まります。僕が何をするかは決まっていません。楽しみにしていてください(笑)」と穏やかに笑いを取り、宇都宮は「新作『DEVOTION』が、自分の手元に来たらたくさん聴いてください」と言ってFANKSを盛り上げる。そして小室が「すごく一生懸命作ったアルバム『DEVOTION』なので、『Whatever Comes』も含めてじっくり聴いてください。そして、9月からのツアーで会いましょう」と締めくくった。会場のエントランスでは終演後に、TM NETWORKに関するテキストを多く執筆し、5月に亡くなった音楽ライター・藤井徹貫への、メンバーやスタッフからの哀悼の意を表したカードがFANKSへ配布された。

なお、翌6月14日には「DEVOTION」がリリースされるのとともに、シングル「Whatever Comes(Opening Edit)」の配信もスタートした。

※冴羽リョウのリョウは、けものへんに寮が正式表記。

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